夏野菜の扉

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ケージから出した途端、タマがトウモロコシ畑へ一目散に走って消えた。
こんな事なら両親が言うようにペットホテルに預ければ良かった。
祖父の家でタマを逃がしたなんて知れたらどれだけ怒られるか…想像したくもない。
だから一刻も早くタマを捕まえるべく、私も祖父のトウモロコシ畑へと入った。
タマはすぐに見つかった。一本のトウモロコシをじっと見つめている。
「それ、気になるの?」
私の方を振り向いたタマは私の肩によじ登ると、ピョンっとジャンプしてトウモロコシの中へと吸い込まれた。
「ちょっ…待って!」
タマに手を伸ばす。私もまたトウモロコシの中へと吸い込まれた。

「あの猫を捕まえろ!」
その声にハッとする。私は巨大化したタマに首根っこを咥えられていた。
どうやらタマは追われているらしい。何体もの手足の生えたトウモロコシが追いかけてくる。
私は考えるのを止めタマに抱きつき、もふもふを全身で享受した。
公開:20/08/12 19:21
続かない

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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