白線のレース!

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深夜、多くの店がシャッターを下ろした商店街。

歩道に、多くの若者が立ち並んでいる。道路を囲むように列をなしている。
若者たちの目的は、ただ一つ。「レース」におけるタツミの疾走。

無敗の王者、タツミの走りを間近で見ることにあった。

「レース」の王者、タツミ。そして挑戦者、茶髪の若者。
道路の両端、コースである白線上にふたりは立っている。
横位置をそろえ、眼光鋭く、戦闘の気合をそれぞれに高めている。
周囲に響く、観客のつばを飲む音。緊張が波紋となり、広がっている。

開始三分前、二分前、一分前━━。
ふたりは合わせたように白線上にかがみ、目線を上向け、

そして、商店街の電子時計が全てゼロに形づくられた瞬間、両者はタイミングを等しくスタートした。白線の上を駆け抜けていった。

舞台は道路。
白線上をコースとした短距離のレース。
白線からはみ出したら、即失格。
「白線レース」の開始だった。
その他
公開:20/08/10 21:24
更新:20/08/10 21:26
空想競技

徳田マスミ

ショートショートを好むのです。
コメディからブラックまで、色んな話を書きたいと思います。

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