現実空想平均台

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 人生とは実地試験だ。
 夜、布団の中で。朝、トイレにこもりながら。
 起こり得ることを空想し積み上げた平均台のような細く不確かな足場を、一日がかりで渡り切る。成果なんて必要ない。失敗だけは許されない。
 口角の上がり具合にまで気を張り巡らせた愛想笑いも、君にはお気に召さなかったらしい。
「なんだかつまらない生き方だね。怯えてるみたい」
 そう言って急に距離を詰めて僕の頬をつねる。
 指先の柔らかな感触に、心臓が高く跳ねた。
「私がかまってあげましょう。感謝したまえ」
 にしし、と。拳を口元に当てがって笑う様がどうにもあざと可愛い。
 君は世界の乱数だ。
 予測のつかない言動は僕の世界を狂わせる。
 取り除くべきバグのはずで、だけどどうしてか、わかってしまう。
 数多の空想を踏み越えてきた僕にはわかってしまう。
 僕はきっと――
 じきに君への恋に落ちる。
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公開:20/08/10 19:49
更新:20/08/10 20:03
空想競技

ぴろしき

Twitter
 @yosisige

上記アカウントにて駄文を垂れ流しているインターネットポエム揚げパン。
にほんご、すき。

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