繁茂ック

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休日、子供達が庭先でハンモックで昼寝をしていた。羨ましい…僕も寝てみたい…
「貴方は駄目よ」
妻は僕の心を読んだかのように言い放った。
「あれはね、繁茂ックっていう若者専用のアウトドア寝具よ。貴方じゃちょっと無理があるわ」
それにムッとした僕は後でこっそり繁茂ックに乗ってみた。
くるんっ!
こけた。
何度やってもうまく乗れない。
「ほらね。繁茂ックは草木が生い茂るように、若草のような盛んに生い茂る若者を受け入れる寝具なの。若くない貴方じゃもう無理よ」
そう説明してくれた妻の手を僕は取り、再び繁茂ックへと倒れ込んだ。
「きゃっ!」
妻はこける事を覚悟していたんだろう。しかし、僕らは繁茂ックにゆらゆらと揺られるだけでこける事はない。
「どうして?」
頭に疑問符を浮かべる妻に僕は答えた。
「僕は今でも若い頃と同じように君を愛しているからさ」
そんな僕らを目にした子供達は言った。
「お盛んだね」
公開:20/08/10 18:58

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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