このにくなんのにく?

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都心を少し離れた環状線から少しそれ、山間に沿って40分ほど登っていけばその店はあった。取材はNG。テレビも雑誌もお断り。口コミが口コミを呼びステーキハウス「カーニバル」の人気はグルメたちに熱狂的な人気を確立しており、それはカルト的であった。
「この肉は他とは全然違う!」
「全く太らない魔法の肉です!」
「ここで食べたら他の肉食べられないよ」
「ここの肉がなきゃ生きられないよ!」
皆、目が血走ったように嬉々として語る。違法薬物を使っている。ある特別な肉を使っている。都市伝説じみた噂も多い。その人心を掌握する謎のステーキは一体何肉なのか?店名からも恐ろしい推察がされた。そして今、私のテーブルに鉄板が給仕される。店主の目が光る。鉄板が「じゅううっ」と音を立てている。
一口食べた瞬間に、私は自分の仮説を確信する。
「こんなにうまい大豆ミートは初めてだ」
私の言葉に店主が怖い顔を綻ばせた。
公開:20/08/10 16:38
更新:20/08/10 17:28

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