2500m走

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「普段どおりの実力を発揮できれば、お前なら優勝できる。自信を持つんだ」
監督に声をかけられた。俺は監督の言葉に耳を傾けず、ただ直後に行われる2500m走に気持ちを集中させた。

まもなく試合の開始を告げるファンファーレが鳴り響く。周囲の声援も俺の耳に届いた。
いよいよだな……。
選手が一斉に駆け出した。
俺ははじめ集団の中段で走るよう心掛けた。監督からの指示だ。
「まだ力を溜めておくんだ。勝負は最後の500mだ」
今回の出場選手は実力的に相当なレベルらしい。しかし周りの選手に関係なく、俺は俺の走りをするだけだ。

まもなく2000m地点に差し掛かった。突然、下半身に激痛が走った。
「ラストスパートだ。飛ばせ!」
監督は俺に命じた。
俺は痛みを堪えて疾駆した。
ゴールは目の前だ。
「行け、鈴木!」
声援が飛ぶ。
俺は一目散に駆け抜けた。

「今年の有馬記念はスズキスカーレットが制しました!」
青春
公開:20/09/06 22:00
更新:20/08/22 21:57
空想競技2020

矢野龍王

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