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「好きだよ」と言ってみたはいいけれど、聞こえなかったフリをする彼。
「なんだって?」
「だから好きだよ」
「知ってるよ」
春の夜更けにつながる手指。
「言葉では表せない」と遠い目で、笑った彼の横顔を見る。
いつもそう。いつも私はそうやって、誤魔化されては後悔するの。
「今日こそは、自分の気持ちを答えてよ」
問い詰める声、夜空に消える。
「言わないと分からないかな」
彼は言い、たくましい手で私を抱いた。
呼吸さえできないくらい。大柄な彼の身体に今日も溺れる。
「お父さん、そんなに強く抱きしめて…ハルカの骨が砕けちゃうわよ」
母の声。父は手加減してくれて、「ごめんな」と言い、あくびを一つ。
五歳児と思って甘く見ないでよ。
言葉にできずに、パジャマを直す。
「おやすみい」
「明日の遠足、気を付けて」
心配しすぎなお父さんの手。
「なんだって?」
「だから好きだよ」
「知ってるよ」
春の夜更けにつながる手指。
「言葉では表せない」と遠い目で、笑った彼の横顔を見る。
いつもそう。いつも私はそうやって、誤魔化されては後悔するの。
「今日こそは、自分の気持ちを答えてよ」
問い詰める声、夜空に消える。
「言わないと分からないかな」
彼は言い、たくましい手で私を抱いた。
呼吸さえできないくらい。大柄な彼の身体に今日も溺れる。
「お父さん、そんなに強く抱きしめて…ハルカの骨が砕けちゃうわよ」
母の声。父は手加減してくれて、「ごめんな」と言い、あくびを一つ。
五歳児と思って甘く見ないでよ。
言葉にできずに、パジャマを直す。
「おやすみい」
「明日の遠足、気を付けて」
心配しすぎなお父さんの手。
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公開:20/08/10 08:20
面白そうだと思って始めました。
400文字に収めるって、難しい。
noteやってます▶︎https://note.com/hitori_cough
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