神社員

神社員の私は今日も神社に到着すると席に着き、仕事を始める。
早速、参拝者がやって来た。
「今日のテスト、百点が取れますように」
その願いを学問の神様である道真公へと天送する。届くかどうか微妙だ。
そもそも今日がテストなら前もって報告するべきだ。君のような急な参拝者が私の仕事を忙しくする。神対応と御利益は期待しないで。
それが終わると溜まっていた願いを各部署へと天送していく。
人の不幸を願うものは祈願主に送り返す。返ってきた不幸をその身に受け、日頃の行いを悔い改めて欲しい。
ウチは安産祈願の神社だってのに多くの参拝者は全く違う事を願う。
だから私のような祈願天送員がどこの神社にも必要となるのだ。
あ～あ…神様なんて楽な仕事と思っていたのに思わぬ誤算だ。
中学の時、進路に冗談でも「神」なんて書くものじゃない。
それを見た先生に神仏系高校を勧められ、エスカレーター式に大学を卒業して今じゃこれだ。