アレ

「アレを取ってください」
「アレ？」
「アレです。ほとんどの人がよく使う、大体は水色のアレです」
「アレ？」
「つまり、２〜３センチ角のプラスチックのかけらで、中央部には数ミリ角の穴が開いていて、一箇所に外側から穴までの切れ目がある。切れ目を下にすれば門の字のような形で、切れ目の両側は若干フレキシブルで別々に動かすことができる。切れ目をやや開いて、そこに例えばプラスチックの袋の口を細くして通してから手を離すと、袋の口は切れ目で押さえられて閉まったままになる。中身を取り出すときも、プラスチック片の片側を手で持って外せば、袋を破ることなく取り出して開けることができる。簡単な仕組みで袋の口を閉じる道具として広く利用される、アレです」
「留めるときはグニャッと歪めて使う、小さいけれどもすごいヤツ。パンの袋を留めるアレですね。はい、どうぞ」
「ありがとう」
キッチンでロボットたちが会話をしている。