ラクセキチュウイ

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海岸沿いの坂道を車で走行中『落石注意』らしき標識が見えた。
「変だ。左は海、右は住宅街。崖も岩肌もないぞ」
内心こんなのあり得ないと思った。
標識を過ぎると、急にシートが揺れ始めた。地震かと思い、ハザードを灯し側道へ寄せた。その瞬間、揺れがシートベルトを外し、更にシートの底が抜けた。
「うわ」
なされるがまま、何やら円筒の中を滑り、着砂した。
目の前に警察官がいた。奥に大きな建物が見え、エンジン音が聞こえた。
「先程、標識を軽視しましたね。標識内に内蔵したドライバーレコーダーが心を見透かしました」
俺は状況を飲み込めなかった。
「ここはどこだ?」
「地下教習所です。標識を軽視したドライバーの再発防止に努める場です。あなたも勉強し直して頂きます」
「何だと!そもそもあそこに石なんて落ちて来ないぞ」
「やはり注意散漫ですね。あれは席が落ちると書く落席の標識。石でなく人が落ちている絵だったのに」
ミステリー・推理
公開:20/08/10 21:43
更新:20/08/11 22:52
400文字

文豪たこ( 神奈川 )

「30秒後に意外な結末」がテーマの140字ショートショーティスト。

面白ければそれでよし、と思って書く日々。

2020.7.15『影ができるスプレー』を初投稿。以降、約半年で150作品を執筆。

◎2020.11.15『ハロウィンの怪人』急上昇ランキング2位
◎12.05『星を見つけた』急上昇ランキング1位
◎12.19『無視される日本語』急上昇ランキング3位
◎12.25『高給な副業』急上昇ランキング3位
◎2021.2.6『ひねくれもの』急上昇ランキング2位

皆様からの「面白かった」が聞ければ、それ以上の喜びはありません。

Twitterでも活動中!
https://twitter.com/bungoutaco

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