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「最近どうも時間の感覚がおかしい。一日がひどく短く感じる……」
青年は友人にぼやいてビールを飲み干した。
「充実した一日というものじゃないかい?いつの間にか時間いっぱいに……とか」
「それならいいんだが、どうも納得いかないんだよなぁ」
彼はビールのおかわりが早く来ないかと手持ち無沙汰に左の指でコツコツとテーブルを叩いた。
「お。古そうな時計だな。ずいぶん使い込まれている」
友人は青年の左の手首に鈍く光る腕時計に目を付けてそう言った。
「これかい。この時計はこのあいだ骨董店で見つけたんだ。店の主人から、この時計は油断できないから気をつけて使ってといわれたけどね」
「へえ~。なにに?」
「なんでも、使ってなじんで来ると、隙を見て悪さをするとかなんとか……曰く付きの時計なんて滅多に無い」
青年はこの時計が時を刻みながら、時折「時を使い込んでいる」ことにまだ気づいていなかった。
青年は友人にぼやいてビールを飲み干した。
「充実した一日というものじゃないかい?いつの間にか時間いっぱいに……とか」
「それならいいんだが、どうも納得いかないんだよなぁ」
彼はビールのおかわりが早く来ないかと手持ち無沙汰に左の指でコツコツとテーブルを叩いた。
「お。古そうな時計だな。ずいぶん使い込まれている」
友人は青年の左の手首に鈍く光る腕時計に目を付けてそう言った。
「これかい。この時計はこのあいだ骨董店で見つけたんだ。店の主人から、この時計は油断できないから気をつけて使ってといわれたけどね」
「へえ~。なにに?」
「なんでも、使ってなじんで来ると、隙を見て悪さをするとかなんとか……曰く付きの時計なんて滅多に無い」
青年はこの時計が時を刻みながら、時折「時を使い込んでいる」ことにまだ気づいていなかった。
その他
公開:20/08/09 06:39
読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。
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