親孝行

母がスマホにしたが、しばらく全く扱えず電話を切ることすらできなかった。
操作方法を何度も何度も聞かれ、うんざりしていたが、これも親孝行だとスマホでできることを教えたのだった。
YouTubeを見られるようになった母はとても嬉しそうで、青春時代の音楽を聴きながら料理をしている姿も見たことがある。
ある日、歯を磨こうと母の寝室の前を通ると、動画の音が聞こえてきた。それから何度も母は、寝る前に動画を見ているようであった。
段々と、朝眠たそうな母。段々と、朝辛そうな母。
私は本当に親孝行をしたのだろうか。
ふと、母がこぐ自転車の後ろに乗っていたあの頃の光景を思い出した。