10の国

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「ここは一体どこだっ!?」
気がつくと、俺は雲上の美しい広場に立っていた。
居酒屋でしこたま呑んでいたとこまでは覚えているんだけどなぁ⋯⋯。

ぱたぱたと羽音が聞こえた。
「ここは10の国ですよ」
額に10と数字の書かれた天使だった。
10の国⋯⋯テン国?
辺りを見渡すと、俺の大好きな酒場の看板がたくさん見えた。
「まさに天国だ!」
さっそく俺は店に入り、あの世の迎え酒とばかりにがんがん酒を飲み始めた。
「あのー、あんまり飲みすぎない方が良いですよぉ」
さっきの天使だ。
だが、額の数字は8へと変り⋯⋯、いや、見ているうちに7になった。
天使の忠告を無視してゲラゲラ笑いながら酒を飲み続けていると、額のカウントダウンもどんどんと加速した。
4、3、2、1!
「あなた、まだ完全には死んでいなかったのに、これで本当に霊になりましたよ⋯⋯」

天使の額の文字が0に減ると、俺の魂もヘルに堕ちた──。
青春
公開:20/08/08 22:46
更新:22/06/27 10:45

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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