ママには内緒のハンモック

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「ねえ、ママー!家にハンモックほーしーいー!」
「だから買いません。どうせすぐ飽きて使わなくなるんだから。」

ぼくのハンモックに対する憧れは、ママには全く相手にされず、ぼくは縁側に座って泣きべそをかいていた。
あーあ、つまんない夏休み。
すると、家の中からぼくを呼ぶ優しい声が聞こえた。
振り返ると、やっぱりぼくのばあちゃんだった。
「スイカ、食べるね?」
ばあちゃんはぼくの隣に座り、縁側にスイカが乗ったお盆を置いた。
「ためしに庭に向かって、口でスイカの種を飛ばしてみな。」
言われたとおり、ぼくはスイカにかぶりつき、種を勢いよく、ぷぷっと飛ばした。
すると、みるみるうちに、庭に落ちた種から芽が出てはツルとなり、すくすくと伸びたツルたちはやがて複雑に絡み合い、目の前に緑の立派なハンモックができあがった。
「ママには内緒だよ。」
ばあちゃんがそう言うと、ぼくはサンダルを履いて庭に駆け出した。
青春
公開:20/08/08 21:58
更新:20/08/08 21:58

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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