オンリーワン

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 1人の男の活躍にスタジアムは歓喜の渦に包まれた。
 金メダルを受けた後、インタビュアーが彼にマイクを向ける。
「神野選手。金メダルおめでとうございます! 今のご感想を!」
「いえ、まだ競技は終わってませんから」
 困惑するインタビュアーをよそに監督が割って入る。
「神野。ここは俺に任せて早く行ってこい」
「監督! ありがとうございます!」
「えっ! あれ?! 神野選手?!」

 放送終了後に監督はインタビュアーに伝えた。
「勘弁してやってください。あの子はこの競技者として特別な能力を持っていた訳ではなかった。ただ、誰よりも優しかった。お母さんが入院されてからずっと練習に身が入らず私は確認した。あの子の1番の望みは、お母さんの笑顔を見ることだった。あの子は1人…ずっと…病気で子供の手助けができないお母さんの笑顔を作る為の競技を続けてきたのです。
 きっと今頃、本物の金メダルを受けてますよ」
青春
公開:20/08/10 09:00
更新:20/08/23 01:34
空想競技 コンテスト

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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