光〜僕を支えるこれだけの力〜

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 スタジアムに到着した僕は瞳を閉じて深呼吸する。
 全身に力が宿る。
父の言葉が強く打ち込まれた胸。
母の優しさに包まれた心。
友と熱く組んだ肩。
恩師が押してくれた背中。
祖父がワシャワシャ撫でた頭。
みんなの喜ぶ笑顔を刻んだ瞳。
みんなの魂の声援が響く耳。
みんなに支えられて立つ脚。
みんなに磨かれ今を掴んできたこの腕。
涙の流れた頬。
胸が。心が。肩が。背中が。頭が。瞳が。耳が。脚が。腕が。頬が。
 僕の中で、これだけのものがまるで競うように力強く僕を支える。
 そして、その全てが僕の中で融合し僕はじっと自分を見つめる。
 僕は、昨日の僕よりもまた早く、高く、強くなる。
 またどんな暗闇に落とされようとも、どんなに高く厚い壁が立ちはだかろうとも、これだけの力を得て僕は光を見つめて走り出す。
 僕は自分を見つめる。
 光は、僕を支える僕自身の中にあったのだ。
 僕は、今、光の中にいる。
青春
公開:20/08/10 08:00
更新:20/09/06 22:50
空想競技 コンテスト

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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