犬に飽きた徳川綱吉

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もう生類憐みの令は20年も続いている。
犬が好きで好きでたまらなかった将軍徳川綱吉だったが、最近はどうも飽きてきた。

将軍が職務を行う大広間の上座に愛犬を座らせる。
犬のサイズに合わせた羽織も着せている。

俺が将軍なんだよな?
あれ、俺が座る席なんだぞ!

そう言うと、犬を払いのけ上座に堂々と腰を下ろす。
ここから見上げる大広間の風景は格別じゃ。
綱吉は満足げに笑みを浮かべる。

すると家来衆がすたすたと現れる。
「上様、規則により逮捕いたします!」
犬をないがしろにした罪で綱吉は捕らえられたのだ!

収容所では犬になるための教育を受ける。
常に四つん這いになり、食事を受け取るときは「お手」をする。

こうして将軍綱吉はついに犬になった。
看守がいない隙を見て脱走した綱吉は四つん這いのまま大広間に戻る。

そして上座に悠々と座るお犬様に「お手」をして食べ物をねだるのだった。
その他
公開:20/08/09 20:31
更新:20/08/09 20:33

岡本たかし

歴史ものに特化した小説を書いています。
よろしくお願いします!

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