夏野菜の扉

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倉庫の中、割れた壺とそれをあざ笑うかのように走り回る鼠。
ご主人様の足音が近づいてくる。どうしよう?鼠を退治するのに夢中になって壺を落としてしまった…
「猫さん猫さん。こっちこっち」
焦る私にアルチンボルドの絵が話しかけてきた。
「早く絵の中に飛び込むんだ!」
ドアが開く音がする。私は思い切って絵の中に飛び込んだ。
『また鼠の仕業か…』
ご主人様は壺の欠片を掃除すると倉庫から出て行った。
ふぅ…と、息を吐いて私は絵の中から飛び出した。
「匿ってくれてありがとう」
「いやいや、猫さんにはいつも鼠を追い払って貰っているからね」
夏野菜の絵が私に微笑みかけた。
それにしても絵の中に入る事が出来るなんて驚いた。どういう仕組みになっているんだろう?
「そりゃ、私が扉を開いたからに決まっている。扉を開けば誰だって中に入れるさ」
ねぇ、もう一度入っていい?
「ああいいとも。折角だ。私が四季を案内しよう」
公開:20/08/09 18:40
続かない

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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