夏野菜の扉

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日々の忙しさで今日がクリスマスだという事をすっかり忘れていた。プレゼントも何も買っていない。買うお金も余裕もない…
町は幸せな家族で溢れている。それなのに私は不幸のど真ん中だ。たった一人の幼い息子に私は何もあげられないのか…無力感で涙が出てくる。
「そこのお方。プレゼントをお探しなら、これどうですか?」
露天商のお爺さんに声をかけられた。
「これは『おやさいクレヨン』という自然由来のクレヨンです。しかし、夏野菜のクレヨンなので売れ残ってしまってね。お安くしますので買ってもらえませんか?」
息子はお絵かきが大好きだ。安くしてもらえるのならと、それを購入し、帰宅した。

翌朝、おやさいクレヨンに大喜びする息子を見て、私はホッとした。
そしていつものように家を出て、夜家に帰って来ると思いもよらぬ光景に目を丸くした。
息子の書いた絵から、夏野菜が生えていた。
「ママ見て!このクレヨン凄いんだよ!」
公開:20/08/07 18:50
続かない

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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