空想金庫

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空想金庫コンテストが行われていた。
参加者には空想で金庫を描き、頑丈な金庫を考えてもらう。
そして後日、このコンテストに優勝した金庫を実際に作って、防犯に役立てるというものだ。
「いやぁ、君の金庫は実に素晴らしい。満場一致で優勝だよ」
授賞式で、審査員長は私にそういった。
「いえ、これも日ごろから空想を重ねていたおかげです。それが防犯に役立つのですから、嬉しい限りですね。ところで、優勝賞金は……」
「ああ、それなら君の作った金庫の中に入れておくよ。あの金庫なら、取り出すのは簡単だろう」
「そういうことでしたか。ありがとうございます」
そして数週間後、私はできた金庫から仮想通貨を取り出した。
まぁ、ただパソコンのデータを移動させただけだが。
今の時代、いくら金庫を頑丈にしたところで、セキュリティがぜい弱ではなんの意味もない。
私が優勝した理由はそれであり、また防犯にも役立つところだった。
公開:20/08/08 11:42

ふじのん

歓びは朝とともにやってくる。

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