BL好き女子の言い逃れ

山田みなみ、建設会社の事務職。
私は腐女子である。それは職場では隠している。

係は他に男性が３人いて、全員既婚者だ。
彼らの会話をBLに変換するのが密かな楽しみ。
「係長、一緒に現場行ってくださいよ」
(訳:あなたとずっと一緒にいたい)
「俺、この仕事大川さんに教えてもらわないとわからないわ」
(訳:君がいないとダメなんだ)
このように妄想しては、心の中でにやにやしている。

ある日の課の飲み会。係長が私に聞いた。
「みなみちゃん、趣味とかあるの？」
「本とか漫画とか、読書ですね」
隣にいた、酔っ払った同期のサキが言った。
「みなみはBL好きなんですよ！」
それは秘密だから！一般文芸も読むし！
びーえる？と呟いた係長に
「BLはブラック ラブの略で暗いとか悲しい恋愛のことなんです！」
慌てて言う。

「うん？みなみちゃん、奥さんがいる人を好きになっちゃダメだよ」

冷や汗が止まらない。