覆すまでがレースだ
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代表選考レースの話題を掻っ攫ったのは「現役の学生長距離ランナー出場」ではなく「失声症の学生長距離ランナーが出場」だった。同じレースに出場する親友は頭を抱え、当の本人からは申し訳なさそうな笛の音色が返事として返ってきた。声を失った時間の方が圧倒的に長いから、二人にとってはそれが当たり前なのに。
確かに失声症を抱えたまま現役、しかも世代代表となる選手はほとんどいない。ましてや10年以上も声が出ないとなると、一般人でもいるのかどうか分からない。それを承知の上で走り続けたい。この世界で生きたい。強豪校に入れる実力と覚悟を持って進学してきたのは、うちの部員ならみんな知っている。失声症だからって、健常者と同じレースに出てはいけないなんてルールはない。
「まさかスタート前から勝負諦めるつもりでいたりする?」
冗談で放った一言に鼓膜が破れそうなほど鋭い声色と音色で同時に反発されたことがまさにその証拠だ。
確かに失声症を抱えたまま現役、しかも世代代表となる選手はほとんどいない。ましてや10年以上も声が出ないとなると、一般人でもいるのかどうか分からない。それを承知の上で走り続けたい。この世界で生きたい。強豪校に入れる実力と覚悟を持って進学してきたのは、うちの部員ならみんな知っている。失声症だからって、健常者と同じレースに出てはいけないなんてルールはない。
「まさかスタート前から勝負諦めるつもりでいたりする?」
冗談で放った一言に鼓膜が破れそうなほど鋭い声色と音色で同時に反発されたことがまさにその証拠だ。
公開:20/08/06 17:33
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