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目が覚めたら日曜日の正午すぎ。沙優美は朝早くから出かけて行った。昼食がテーブルにのっている。大きな皿にたっぷりと盛り付けたパスタだ。すぐに食べはじめる。具材の冷たい感触が快い。ぱりぱりぱさぱさしゃきしゃき。と、舌の先に何か感じる。異物というには舌に馴染む。柔らかい。虫ではないが動きがある。やや温かだ。舌の先でそれを突きとめようとするがするりと逃げる。舌で転がすと伸びて絡んでくる。動かせば動かすほど舌に絡む。触れるうちにやがてねっとりとする。舌にぴったり貼りついて、さらに伸びて舌を包む。まるで感覚があるようだ。心地よい。目をつむって舌を感じる。こんな感触を体験したことがある。いつのことだったか。
スマホが鳴った。沙優美からビデオ電話だ。
「パスタ、食べた?」
「うん、いま食べている。素敵だ」
「舌ビラメのシーフードパスタよ」
そういうと画面の中の彼女はペロリと大きく舌を出して笑った。
スマホが鳴った。沙優美からビデオ電話だ。
「パスタ、食べた?」
「うん、いま食べている。素敵だ」
「舌ビラメのシーフードパスタよ」
そういうと画面の中の彼女はペロリと大きく舌を出して笑った。
その他
公開:20/08/06 07:24
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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