真夏が苦手な武田信玄

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武田信玄は真夏に弱い。
戦国最強の男なのに真夏に弱い。

彼は軍配を肌身離さず持っているが、あれは団扇がわりだ。
暑さをしのぐため、軍配を振って涼をとるのだ。

さすがに一日中仰ぐと手が疲れる。
ある日信玄は、軍配を電動式にするよう家臣に命じた。

1週間後、電動式軍配が完成した。
軍配を握ると自動的に前後に揺れる。

「これは涼しいわい」
信玄はご満悦のようだ。

すると急に城内にサイレンが響き渡る。
家来衆の慌ただしい声が聞こえてくる。

10分もしないうちに、鎧に身を包んだ家来たちが勢ぞろい。

「殿、戦支度が揃いました」

「待て待て、軍配を仰いで団扇代わりにしてただけじゃ!」

家臣は、作ったのは「電動式軍配」であって「電動式団扇」を作った覚えはないと言っている。

「ではなぜ軍配を握ったとたん揺れるのじゃ?」

「揺れるのは、『出陣じゃ』の合図を自動化したためでございます!」
その他
公開:20/08/05 20:26
更新:20/08/05 20:30

岡本たかし

歴史ものに特化した小説を書いています。
よろしくお願いします!

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