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 男の稼業は泥棒。夜に民家から金品を盗むだけの手口だが、未だ捕まったことはない。秘訣は、男の特殊能力だった。人のいない家が白く光って見えるというもので、夜闇に空き家が明るく輝いて見えることで、彼は迷わず適当な家を狙えるのだった。
 その日もいつも通り盗みを終えて帰路についた男だったが、突然背後から呼び止められた。声の主は私服警官だった。彼は男の持ち物をあらため、盗難品に見当をつけると窃盗を疑って鎌をかけた。初めはしらを切った男も、警官の強気な様子に観念し、ついに逮捕されてしまった。
 初めて刑務所に入った男だったが、やがて刑期を満了した。出所の日、何とあの私服警官が見送りに来てくれた。そこで男は、彼に、なぜ自分の犯行が分かったのか尋ねた。すると彼は答えた。「信じて貰えんだろうが、特殊能力のお蔭さ。罪を犯したばかりの人間が光って見えるんだ。あの日のお前は、闇の中でひときわ輝いて見えていたよ」
SF
公開:20/08/04 21:19

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