夢のチケット

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「やたらリアルだな」
そうボヤキながらも私は「あなたの夢、叶えます」と謡うホームページを見ている。
ここで『夢のチケット』なるのものを買う仕組みらしい。

購入ページには、必須項目がつらつらと並んでいた。
個人情報、身長体重、家族構成、学歴、資格、交友関係、所得、資産、傷病歴、精神状況、性格、フェチ、趣味趣向、犯罪歴、支持政党、人生観…
この情報の行先に不安を覚えながらも、夢を叶えるのだから、事細かに自分のことを伝えなければと納得した。
また、私の情報がどこに売られようが構わなかった。

入力を終えた頃には、外ではかすかな鳥の歌と、新聞配達のカブが走り去る音が聞こえていた。
「あまり眠れた気がしないな」
枕もとの睡眠導入剤に書かれた通りの夢が見られた。
草原で羊を見ることはなかったが、不思議と気分は悪くない。

締め切ったカーテンの隙間から、朝日が頬をなでるように伸びていた。
ファンタジー
公開:20/08/15 15:00
更新:20/08/13 19:31

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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・J-WAVE SPARK×NOVELDAYS ほっこりショートコンテスト第1弾「モノのつぶやき」
 「子に捧ぐ祈り」

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