コウノトリの家業

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物心ついた子供が尋ねる。「赤ちゃんはどこからくるの?」「コウノトリさんに運ばれてくるのよ」母親は続ける。「お隣さんはオオワシさんにお願いしたそうよ」

昨今の平和ボケによって遺伝子が衰退し、子供を授かる方法は一変した。役所に依頼することで、コウノトリが運んできてくれる。当初は厚労省が独占していたが、あまりの人気ぶりに民営化し、雇われ鳥も多種多様化したということだ。大企業はスピードを重視し、パワフルなオオワシやタカを雇い、中小は賃金の安いスズメと大量に契約した。ベンチャー企業はクジャクの様な派手な鳥でコマーシャルを打ち出したり、面倒見のいいオシドリのつがいにベビーシッターをさせて売り込んだ。

一方、鳥の情勢も一変。家業で大儲けをして食べ物に困らなくなったので、平和ボケしてしまったのだ。そんな中、ある雛鳥が訪ねた。「赤ちゃんはどこからくるの?」「それはね、トカゲさんが運んで来てくれるのよ」
その他
公開:20/08/20 18:00
更新:20/08/18 21:06

まのじゅん( 神戸 )

まのじゅん/間野 純
神戸市在住の26歳
執筆は2020年春ごろから

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