スイカゾンビ

10
8

 朝、顔を洗っていたら顔が落ちてきそうな感じがした。骨から頬肉が剥がれ、それが流れてくる感覚だ。僕は気を失った。
 気がつくと僕はベッドの上で、顔が包帯でグルグル巻きだった。
「スイカを食べたか?」と防護服の男が言う。
「週三で」
「鼻に種が入ったことは?」
「あります」
 男はうなずいた。
「蔓が骨と肉の間に入り込んだのだ」
「早く取って!」
 男は首を振った。
「既に、頭骨内にスイカが成っている。それは成長し最終的に、脳がスイカになる」
「じゃ、死ぬんですか?」
 男は首を振った。
「スイカは脳として機能する」
「え? じゃ、影響無いと?」
 男は首を振った。
「スイカにシンパシーを感じるようになる。君はもう、スイカを切ったり、スイカ割りをしたりはできなくなる」
 これは、スイカが人間に対抗するために変異した『寄生スイカ』なのだという。
 頬肉はそれから十日ほどで安定し、僕は退院した。
ファンタジー
公開:20/08/05 11:22

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容