単管バリケードの男

　道路工事や建設現場でよく目にする、単管バリケード。
　ウサギやネコや、ルフィーやキティーや、富士山や女の子などの様々なキャラクターを鉄パイプでつないだバリケード、といえばお分かりいただけるだろうか。
　わたしはソレを見かけると、抑えきれない衝動に駆られ、実際、わたしはそれを抑えきれないでいる。もちろんそれは犯罪行為で、その上、民事で訴えられでもすれば、相当額の賠償金を請求される可能性も否めないという危ない橋だ。
　だが、ふとした日常の片隅に、愛くるしいカエルやタヌキやご当地キャラが土手っ腹を無骨な鉄パイプで串刺しにされている様を見世物にされているのを、殆どの人は気の毒とも思わず、あろうことか「かわいいね」と微笑み合いさえする始末だ。
　わたしはそういう反応をも含めた全てが、不健全で不健康だと思う。
　だから、わたしはそのバリケードの顔に、宅麻伸の顔写真を貼り付けずにはいられないのである。