最低の父親に育てられた僕は、最低の父親になった。
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幼い頃で覚えているのは、父親から殴られた事や悲しく辛い記憶だけ。父親の顔色が基準の恐怖に満ちた生活だった。早くから、この家から出る事を考えていた。だから勉強に勉強した。中学の成績は常にトップ、高校も進学校、そして大学~就職。そして結婚。いつの間にか幼い頃の記憶が薄れ、2人の父親になっていた。親になったら家族旅行をして、家族を喜ばして一緒に楽しみたいという漠然とした夢があった。2人の子供が小学生になった。年に数回、2~3泊の家族旅行をした。満足していた。ある日、旅行先の旅館のトイレで、子供達の会話を聞いてしまった。「お兄ちゃん楽しい?」「あんまり、でもお父さんが機嫌よさそうだから。」「ゲーム買って貰おうっと!」会話を聞いて愕然とした。自己満足に浸っていただけだった。家族の気持ちを犠牲にしていた。幼い頃の不満を、子供や妻に強いていたのだ。いつの間にか自分の父親と同様、最低の父親になっていた。
その他
公開:20/08/05 05:33
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