視覚不全の画家

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「上手いね〜!すごい、すごい!」
飛行機のクレヨン画を見た母が、息子を褒めちぎっている。
タケオは、幼い頃から表現する事が大好きな明るい子供だった。
彼は専門学校を出て、広告業界に勤めたいという夢があった。
だが、試験前に自分の視覚能力に問題がある事が分かり、辞退せざる負えない状況に。

悔しかったが、ある事実が彼に再び夢へと前進する力を与えた。
世界的に有名な画家レンブラントが、実は色弱だという記事を読んだのがきっかけだった。
彼はそれを知り、諦めていた自分の障害に光が当てられたような気がした。

それから、タケオはデザインの技術を好きな絵に活かし多くの作品を生み出していった。
彼の絵は、普通の感覚では見えないような輝くような陰影が有名だ。
独自の色使い、タケオ・ブランドを生み出しても尚、彼の挑戦は終わらない。
幼き日、子供の自分の拙い絵を褒めてくれた父と母に、感謝の想いを馳せながら。
青春
公開:20/08/04 23:52
更新:21/02/27 22:12

水鏡かけら( 日本 )

執筆のリハビリがてらに、書いております。
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