スカイフィッシング

　おれは、釣り竿を持って、ビルの屋上にある競技場に到着した。
　スカイフィッシングの競技が今、スタートしたのである。
　スカイフィッシングとは、上空で遊泳するトビウオを釣る競技である。
　進化したトビウオが上空１０００メートルまで飛ぶようになって以来、釣り具メーカーが、空釣り専用の釣り竿を開発した。それ以来ファンが増えて競技になったのだ。
　おれも選手たちも一斉に竿を空へ振り上げた。それぞれのウキが大空へふわりと浮き上がる。
　トビウオは５０種類以上いると言われている。トビウオによって得点が決められており、新種のトビウオは、より得点が高い。
　釣り下げたトビウオは、点数の低いものばかりだった。
　制限時間ギリギリで、竿に強い引きがあった。
　すごい力で反発しているぞ。
　飛んでもない大物に違いない！
　離してなるものか！　
　
　おれは必死で釣り竿を掴んだまま、
　旅客機に釣り上げられた。