ワンハンドレッド・マーダーズ

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「これはまさしく殺人事件!」
 ベテラン刑事の美濃は唸った。
「ダイイングメッセージからして犯人のイニシャルはKMだッ!」
 部下が指差した床に横たわる男の右手には血で書いた文字が。
「腕の良いバーテンだったが。あのカクテルはもう味わえんのか」

「あっ!」
 一人の客が声を上げる。
「僕、三笠敬太郎。イニシャルはKMっす」

「ふふっ、署に来て話を…」

「あ、すいません」「俺もKMだ」「わたしも!」「儂もじゃ」「えーと自分も」

 この店は広いが今日はなんて客が多いんだ!

「警部、この99人全員イニシャルがKMです!」
 美濃はゆっくりと磨り減った革靴を踏み込み振り返ると
「馬鹿な事を言うな!君は大事な事を1つ見逃してとるッ!」
 人差し指をゆっくり自分の顔に向け
「ワシは美濃賢一。KMじゃよ」

 100人の容疑者が揃った。

 数と言うものは切りが良かったりぞろ目だと気持ち良い。
ミステリー・推理
公開:20/08/04 12:01
ミステリーじゃない

ffaf( 日本 )

楽しみながらたまにのんびりと書いていきたいと思っています。(創作グループstudioEG所属の小間使いです。)

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