紫式部の恋愛小説の書き方

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紫式部には恋人がいない。
妄想の中で一生懸命恋をする彼女は、理想の恋人を「光源氏」と名づけて、妄想を物語にして書き綴っている。

彼の姿を鮮明に映し出すため、紫式部はアイマスクをつける。
暗闇の中から光源氏のりりしい姿とはにかんだ優しい微笑みが浮かんできて、彼女をうっとりとさせる。
愛しい彼を想い、スラスラと筆が進むのだ。

このアイマスクは特殊なマスクで、装着から30分経つと大量の水が湧き出る。
そう、涙の洪水だ。
光源氏を思い続けて30分もすると、彼の地位を利用する悪女どもが現れ、そそのかされ、身ぐるみはがされる姿を必ず目撃することになり、しとしと涙にくれるのだ。

私しかいないの、彼と幸せに暮らせるのは!
ところがたったの30分後、悪女が現れては愛しい彼がさらわれていく。

結局、いくら妄想しても光源氏と結ばれないまま、なんと彼の物語を100巻も書き上げてしまった!
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公開:20/08/04 11:28
更新:20/08/04 11:30

岡本たかし

歴史ものに特化した小説を書いています。
よろしくお願いします!

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