こけしののろい

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 奇妙な出来事が起こり始めたのは、家を新築してからだった。すりガラスに小さな影が映ったり、夜中にコツコツという音が廊下に響いたり、窓を閉めようとしたらコケシが挟まっていたり、郵便受けがコケシで溢れていたり。
 桃を切ったら種がコケシの頭だったり、歯ブラシがコケシになっていたり、自慢の檜製コケシ風呂にカビが生えたり、えのきがコケシだったり、位牌がコケシになっていたり、墓参りにいったらコケシ製の墓石にフンがついていたり。
 豪奢な総コケシ造りの家など建てたせいで、近隣住民の妬みをかって、それが呪いとなったのだと思い、霊媒師を呼んだところ、家の敷居をまたぐや否や顔が真っ赤に膨れ上がって苦しみだした。
 霊媒師は這うように家を出ると、息を整えてからこう言った。
「大黒柱が上下逆さまなのが、災いしておるのだ」
 そういわれて床下を覗いてみると、こけしの顔が逆さまに、目を血走らせてこちらを睨んでいた。
ホラー
公開:20/08/04 09:22

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

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