愛の二人三脚

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男女二人三脚決勝。僕たちはトップを走っていた。
「きゃっ!」
ゴール寸前で彼女が転倒。僕もつられてバランスを崩した。
「イタタ……。大丈夫? 皐月さん」
急いで立ち上がり、彼女に手を差し出す。
「ありがとう如月さん。……つっ!」
立ち上がろうとした彼女が、苦痛に顔を歪める。
「まさか足を」
「私は大丈夫。でも」
後続の選手が次々とゴールしていく。気が付けば僕たちはビリになっていた。
「ごめんなさい。私のせいで」
「いいんだ。気にしないで」
「でも」
「僕たちの愛は、いつだって世界一位さ」
「如月さん」
「よーし」
足を外し、彼女をお姫様だっこする。
「えっ、如月さん!?」
「さあ行こう、二人の愛のゴールに」
「はい!」

「如月!」
その声にハッと我に返る。先生と目が合った。
「授業中にぼーっと外見てんじゃねえぞ」
「違います先生」
「何がだ」
「見てたのは女子の体育です」
「なお悪いわ」
青春
公開:20/08/03 19:05
空想競技

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