未来空想コンテスト

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世界中で、未来を空想するコンテストが開催された。
賞金も表彰もない。ただ、みんなで素敵な未来を空想し、それを町の公民館で、新聞や雑誌などの印刷物で、あるいはSNSを始めとするインターネットで、思いのままに発表した。
ある少年は国境のない世界を描いた。ある少女は人種差別のない世界を語った。ある母親は飢えに苦しまない世界を願った。また、亡くなった愛するひとが復活する世界を祈る老人もいた。
未来を空想することが、こんなに楽しいことだとは。
戦争や紛争だらけの世の中で、初めて世界の心がひとつになった。
だが、残念なことに、このコンテストはまもなく終了する。それでも、世界中の人々が、最後の一秒まで未来を信じ、素敵な空想の発表を続けた。
地球を滅亡させる巨大隕石の衝突まで、あと五分。
SF
公開:20/08/01 17:54

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