293. Fight in Blue

6
7

(もうすぐだ……)
紺碧に染まるこの世界で、本日二回目の競技がもうすぐ始まる。
水槽の中の選手たちは、高揚と期待で口をパクパク、気もそぞろに自慢の背びれや尾びれをパタパタと左右へ揺らしている。

「皆さん、水槽の前に集まって下さいね」
係員が優しくハッキリと、定刻になったことを観客にアナウンスする。
「それではご覧下さい!」
開始を告げる声がスピーカー越しにこちらへ届いた。

私は午前の回ではあまり芳しくない成績だったので、今度こそ挽回しようとぐっと力を込める。
他の選手たちも全身の筋肉を上手くコントロールし、スピードをぐんぐん上げ、水中へ静かに降りてきたゴールへと一直線に向かう。しなやかにそして豪快に。

人間の子どもたちは「がんばってー!」と可愛い声で応援してくれている。

フワリふわり、レタスの水中花が美しく広がった次の刹那、檸檬色や群青色の熱帯魚たちは華麗にそれに群がった──。
ファンタジー
公開:20/08/01 15:44
更新:21/04/09 02:51
空想競技

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容