ゆれる聖徳太子

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聖徳太子はビクビク震えていた。

今日も沢山の人の話を聞き過ぎた。
一度に10人の話を聞けるという特殊能力の持ち主だ。
さらに1人ずつ正確に回答できるから驚きだ。
彼の耳は休むことを知らない。

今はもう誰もそばにいないのに、
耳が振動しすぎたのか震えは全身に及んでいる。
カタカタと足元を刻む音が響く。
いつまで経っても震えは止まらない。
深くかぶったはずの冠が微風に吹かれるようにそよぐ。
両手で握りしめた笏が前後に激しく動く。
自慢の長い顎髭が振り子のように揺れる。

彼は法隆寺の5階にいた。
その他
公開:20/08/01 11:10

岡本たかし

歴史ものに特化した小説を書いています。
よろしくお願いします!

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