夏野菜の扉

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痛んだ夏野菜に虫が湧ている。悪臭を放ち、近付けない空気を放っている。食べ物の哀愁が漂ってきている。
私は食べ物に向けて手を合わせた。
「いただけなくて、申し訳ありません」
幼い頃から全ての食べ物には神様が宿っていると両親から言われてきた私は食べ物を無駄にする事は神様を蔑ろにする事だと教えられた。
ゴム手袋をして、供養するように食べ物を地面に埋める。
そして、改めて手を合わせた。

その夜、夢の中に食べ物の神様が現れた。
『食物に感謝と敬意を払うお主の姿に感動した。そんなお主に儂ら食べ物の神から贈り物を授けよう』
そう言って、小さな鍵をくれた。

ただの夢だと思っていた。でも、私の手にはしっかりと小さな鍵が握られてある。これは何の鍵だろう?
分からないけど、神様から貰った大切なものだ。肌身離さず持っておかなきゃ。
朝食の準備の為、冷蔵庫を開けた。
中に入っている夏野菜全部に鍵穴がついていた。
ファンタジー
公開:20/08/02 18:45
続かない

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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