ティンクル ナイス スウィング

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開催日は星が綺麗に見える晴れた夜。スタッフは、箒星で散らばった星屑を集めて196の星山をセッティングする。選手はティンクルスティックを持って星山の前にスタンバイした。
原っぱに寝転がる者、高層ビルの展望室へ上る者、ベランダや庭に出る者。世界中の観客が熱い視線を注ぐ会場は天空だ。
ティンクルナイススウィングは、星屑を飛ばす競技だ。小さな星屑をスピードに乗せて遠くに飛ばすには技術がいるし、空振りもする。各国の代表選手たちは自分の国に向けて出来る限りたくさんの星屑を飛ばす。
キランキランとスタートの星の音が鳴り、選手たちが次々と星屑を飛ばし始める。筋のような光が空にスッと現れて一瞬で消える。
「ナイスメテオ!」
観客の多くは祈るように胸の前で手を組み、一瞬の光を見逃さないよう空を見上げた。
「凄い!今年は強打者揃いだ!」
その日、一人ひとりの願いを乗せた70億を超える流星が世界中に降り注いだ。
その他
公開:20/08/02 12:47
更新:20/09/03 15:09
空想競技

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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