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「キモい」「サイテー」「クッセーんだよ」「マジ、ムリ」
こういう言葉を発しているときの女性の顔が好きなことに気づいたのは、幼稚園の時だった。星組に一人、いつも女の子たちからそう言われている奴がいた。僕はいつもそいつの近くにいて、女の子たちが「きもい~」と言っている顔を盗み見てはゾワゾワしていた。
年の離れた姉の影響もあったと思う。姉が父親に向かってそう言っているのを盗み見て、すごくゾワゾワしていた。
人が言われているのを見ているだけでこんなにゾワゾワするのだから、面と向かって言われたら、どれほどゾワゾワできるだろうと思った。そのためには、臭くて、キモくて、サイテー、な存在にならなければならない。
でも、僕はどうやってもその水準に達しないみたいで、「自然体でいい」「ギャップが素敵」「守ってあげたくなる」と言われてしまう。
最後の望みは、結婚して娘が生まれてくれることだと思っている。
こういう言葉を発しているときの女性の顔が好きなことに気づいたのは、幼稚園の時だった。星組に一人、いつも女の子たちからそう言われている奴がいた。僕はいつもそいつの近くにいて、女の子たちが「きもい~」と言っている顔を盗み見てはゾワゾワしていた。
年の離れた姉の影響もあったと思う。姉が父親に向かってそう言っているのを盗み見て、すごくゾワゾワしていた。
人が言われているのを見ているだけでこんなにゾワゾワするのだから、面と向かって言われたら、どれほどゾワゾワできるだろうと思った。そのためには、臭くて、キモくて、サイテー、な存在にならなければならない。
でも、僕はどうやってもその水準に達しないみたいで、「自然体でいい」「ギャップが素敵」「守ってあげたくなる」と言われてしまう。
最後の望みは、結婚して娘が生まれてくれることだと思っている。
その他
公開:20/07/31 14:30
更新:20/07/31 14:32
更新:20/07/31 14:32
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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