タイムマシン

2
6

ついにタイムマシンが完成した。

長年の研究が実を結んだ結果に涙を禁じ得ない。ここまで苦難の道のりだった。
私の理想は誰にも理解されず仲間はもちろん家族にも見放された。
 狂人でも見るような目でみなが私を見た。だが、私はそれでもよかった。

私の理論が正しいと証明できるのはこのタイムマシンだけだったからだ。

燃料は限られている。チャンスは一度きりだ。過去に未練はない。行くなら未来だと決めていた。

震える指で起動のスイッチを押す。シークエンス音声が流れタイムマシンが光と共に時空を超えた。成功だ。ついにやったのだ。

タイムマシンから降りて飛び込んできた景色はまさに想像を超えた未来の光景だった。

森は切り開かれ、至るところにある四角い水たまりで食糧を人工的に生み出すテクノロジーが行われているらしい。


私は「稲作」という未来の技術に興奮し、縄の模様のない土器に驚きながら毛皮を脱いだ。
SF
公開:20/07/31 00:00

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容