フェチ馬

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「好きこそ馬の上手なれ」竹取翁

フェチ馬競技創設者の言葉だ。

自分のフェチを馬に見立てて跨がり、100mを競いあうこの競技。速さもさることながら、何フェチなのかが重要である。私のフェチは創始者と同じ竹だ。艶、色、形、全てが私を虜にする。竹を竹馬に加工して走る。跨がっていないと抗議される事もあるが、創始者自らが使用しているので問題ない。

そして世界フェチ馬決勝戦当日。スタートの合図がなると一斉に選手は飛び出した。ぬいぐるみやマネキン、巨大キノコに跨がる選手を抜き去り、ポッカポッカと走った。

突如、一人の男が颯爽と私の横を駆け抜けていった。そして私は二位に滑り込み、金メダルを彼に奪われた。

最新の陸上競技用スニーカーを履いた彼はスニーカーフェチだと。しかし表彰台で銀メダルをかけられながら私はうっすらと笑みを浮かべた。

「金に光る竹は、トラブルが起こる」竹取翁

私は銀フェチなのだ。
その他
公開:20/07/30 22:21
更新:20/09/07 18:16
空想競技

たらはかに( 日本 )

たらはかに

https://twitter.com/tarahakani
猫ショートショート入選 「猫いちご ・練乳味」
渋谷ショートショート入選 「スク・ラブラブ・ランブル交差点(哀)」とか。

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