泣きにらめっこ

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「ねえサチコ、泣きにらめっこしない?」
 急にサトルが提案してきた。
「泣きにらめっこ?」
「うん、泣いたら負け。ここにあるものは好きに使ってもいい。あ、でも直接暴力はダメね」
 テーブルの上にはわさびや洗濯バサミ、タバスコなど、確かに痛そうなものや口に入れれば涙が出そうなものがたくさん置いてある。
「わかった、負けたら罰ゲームね」
「いいよ。じゃあ僕から」
 そう言うと、サトルはテーブルから小さい箱を持って開けた。そして、サチコの目の前に差し出した。
「サチコ、僕と結婚してくれ」
「えっ」
 思わぬ展開に、サチコは驚いた。そして、付き合っていた2年間の思い出が頭をめぐり、涙を流してしまった。
「はい、サチコの負け。罰ゲームは、ここにサインね」
 そう言うと、サトルは1枚の紙をサチコに差し出した。既にサトルの名前と印鑑が押してある。
「……はい」
 サチコは頷きながら名前を書いた。
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公開:20/07/30 21:23

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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