Go to hell マラソン

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地獄では、この世で大罪を犯した死者たちが集結している。閻魔様主催のGo to hell マラソンにエントリーしている面々だ。このマラソンで好成績を収めれば天国への道が開かれる。
死者たちは、我先にと一斉にスタートラインに立ち、閻魔様の従者である鬼が鳴らす号砲の鐘の音を今か今かと待ちわびる。
地獄を巡るマラソンのコースは、血の池、針山、釜ゆで、火炙り、灼熱、極寒、虫喰われ、空腹ーーどれも過酷なものばかりだ。
一気呵成に勢いよく走り出した死者たちの中には、遅れまいとして前のランナーを押しのけたり、引きずり下ろそうとする者が続出したが、鬼によって危険行為と判定され失格となった。
また、コース途中の地獄から抜け出せずに離脱していく者が後を絶たず、棄権が相次いだ。
そしてマラソンも佳境を迎え、残るは犍陀多はじめ数名だけとなった。
いよいよ最後の関門だ。極楽の蓮池からお釈迦様が蜘蛛の糸を垂れている。
ホラー
公開:20/07/31 20:05
「空想競技」 地獄 死者 閻魔様 血の池 針山 灼熱 お釈迦様 蜘蛛の糸

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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