幻の競技「ユニコーンレース」

ユニコーン、それは誇り高い一角の霊獣である。万物を貫く螺旋状の角を携えた美しい白馬の姿で描かれることが多い。極めて獰猛で一度怒らせれば手をつけられないほど。ライオンや象でさえその鋭利な角で一撃の元に屠ると記述されている。
　その恐ろしい霊獣に跨がり、疾風迅雷の如く駆る男たちの存在をご存知であろうか？
　ユニコーンレースの騎手たちである。
　ある書物によれば、ユニコーンレースとは、愛角獣を走らせ、順位を競う競技とある。が、それは一つの側面でしかない。最もキモとなるのはユニコーンを必ず捕獲すること。この特性から競技の特異性が窺い知れるであろう。
　以前、ユニコーンを騙り"奥田"という日本のミュージシャンを連れてきた者は失格になったと記録されている。名前の似たカプリコーンやとんがりコーンも例に漏れない。
　その難易度から競技人口は減少を辿り幻の競技と言われているとかいないとか。