スリッパ飛ばし

私は、晴れ男だ。
小学生の頃から、遠足や運動会といった行事で雨が降った事がない。
そして、私の人生も快晴続き。有名企業に就職、社内結婚、子宝に恵まれ、３０代で課長になった。

そんな私が、今年度から新たに加わった競技種目［スリッパ飛ばし］に、日本人代表として出場する事になった。

各国の選手が利き足に、自国の国旗が刺繍されたスリッパを履き、ラインの前に一列に横並びになり、ピストルの合図で、スリッパを蹴り飛ばす。
裏返しになったら、失格。
一番遠くに飛ばせた者が、金メダルとなる。


私はラインの前に立ち、深呼吸をしようとした。
次の瞬間、合図が鳴った。
覚えず力んでしまい、足を思いっきり振り上げて、スリッパを飛ばした。

スリッパは、照りつける太陽目指して、空高く舞い上がり、裏返しに着地した。

翌日、雨は１滴も降らなかった。
しかし、私の評価は180度ひっくり返った。