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「泳ぐだけなら、泳がなくて良くない?」彼女は言う。どうして泳ぐの、と僕に聞いてくる。彼女は知らない。
屋外のプールで泳ぐのはたまらなく気持ちいい。どんなに暑くても、プールにひとたび飛び込めば別の世界がある。水中から見える、なによりも青い空ゆらぐ入道雲を見たことないやつの青春に関する意見なんて、なんの参考にもならない。彼女は知らない。
僕らが泣いてもいい世界があることを知らない。そこなら、僕らが悲しくて涙を流しても、プールが受け入れてくれることを知らない。泳いでるうちに泣き止めば、僕らはまた誰にも気取られずに笑って帰れる、そんな場所があることを知らない。彼女は知らない。
僕が彼女を好きなことを知らない。なによりも美しい君のことをいつも考えていることを知らない。僕が夏の美しさでも水の冷たさでも彼女を思い出すことを知らない。水が彼女への涙を受け入れてくれることを知らない。彼女は知らない。
屋外のプールで泳ぐのはたまらなく気持ちいい。どんなに暑くても、プールにひとたび飛び込めば別の世界がある。水中から見える、なによりも青い空ゆらぐ入道雲を見たことないやつの青春に関する意見なんて、なんの参考にもならない。彼女は知らない。
僕らが泣いてもいい世界があることを知らない。そこなら、僕らが悲しくて涙を流しても、プールが受け入れてくれることを知らない。泳いでるうちに泣き止めば、僕らはまた誰にも気取られずに笑って帰れる、そんな場所があることを知らない。彼女は知らない。
僕が彼女を好きなことを知らない。なによりも美しい君のことをいつも考えていることを知らない。僕が夏の美しさでも水の冷たさでも彼女を思い出すことを知らない。水が彼女への涙を受け入れてくれることを知らない。彼女は知らない。
青春
公開:20/07/30 03:42
小説を書く練習をしています。
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