貝殻味のアイス

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「玉手箱でこんな姿になるなんて聞いてなかったぞ。何か方法はないのか。」
しわだらけの顔をしかめ、浦島はカメに問う。
『実は竜宮城のレストランに貝殻味のアイスがありまして。ラッコの少子高齢化対策に海で用いられていて、アイスに入っている真珠に若返り効果があるんです。』
「よし。今すぐおれを連れて行け。」
『は、はい…』

浦島は竜宮城のレストランに着くやいなや、これでもかという量の貝殻味のアイスを注文し、食べ始めた。
見た目は淡いピンク色で、食感は粉っぽく、まるで冷えた小麦粉みたいだった。
それでも真珠を飲み込むたび、どんどんと肌にハリとツヤが戻るのを感じた。

『もうその辺で…』
「だめだ。もっと若返って少年の頃の姿に…」
浦島はその後も食べ続けた。

「お腹が痛い!」
とうとう少年の浦島がお腹を壊した。カメが指すトイレの方へと駆け込む。

しばらくしてから浦島が戻ってきた。老人だった。
その他
公開:20/07/29 12:54

日常のソクラテス( 神奈川 )

空想競技コンテスト銅メダル『ピンポンダッシュ選手権』
空想競技コンテスト入賞  『ダメ人間コンテスト』
ベルモニー Presents ショートショートコンテスト入賞 『縁茶』
X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)

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